病気にならないためには、外部から入ってくるバイ菌(微生物びせいぶつ)や異物(いぶつ)を体から追い出したり、それらと戦(たたか)い負けないことが必要です。
 




の2つがあります。

 どんな外敵(がいてき)(抗原)に対しても同じように攻撃(こうげき)します。というか、鼻水や、涙、皮膚(ひふ)も自然免疫とされています。
 もし皮膚がなかったら、鼻水や涙(なみだ)が出なかったら、バイ菌が体に入るわけですから、これらも立派な免疫です。

 そして、見知らぬ敵(てき)が体内に侵入(しんにゅう)してきた時には、炎症(えんしょう)が起こって熱が出たり、バイ菌が侵入(しんにゅう)したところが腫(は)れて膿(のう)が出たりします。これらも自然免疫反応です。
では、どんなものがこの自然免疫に関わっているのでしょう。
リゾチームってなんだろう。
真正細菌(しんせいさいきん)の細胞壁(さいぼうへき)を構成する多糖類(たとうるい)加水分解(かすいぶんかい)する酵素(こうそ)です。この作用があたかも細菌を溶かしているように見えることから溶菌酵素とも呼ばれます。ヒトの場合涙や鼻汁、母乳などに含まれています。
むずかしい話しですね。つまり、リゾチームはばい菌のそとのかべをこわすことができます。
ここで、細菌(さいきん)について、簡単(かんたん)に調べておきましょう。
 
細菌(さいきん)
 グラム染色によって細菌類は大きく2種類に大別されます。染色によって紫色に染まるものをグラム陽性、紫色に染まらず赤く見えるものをグラム陰性といいます。
グラム陽性菌は、あまり人間にとって、害(がい)がないようです。

 グラム陰性菌は細胞のかべに毒があり、人間にとって、好ましいものではないようです。また、壁はうすいのですが、この外側に粘液層(ねんえきそう)や堅い(かたい)層(そう)があるため、細胞壁の変化が人間にはわかりにくいのです。つまり、異物としてとらえることができないため、人体に住み着きます。

 グラム染色液で、紫にそまる細菌は、細胞の壁(かべ)が厚(あつ)い。そのため、細胞の内部で染まったものが細胞の外にでにくく、紫色のままです。

 赤色に染まる細菌は、細胞の壁がうすく、細胞の内部で染まったものが、細胞の外にでて色がつかず、うすい赤色になります。

リゾチームは、グラム陽性菌のみに作用します。
病原性の強いグラム陰性菌を殺菌できません。
口から入る菌はグラム陽性菌が多いため、リゾチームで殺菌され、口の中で、菌が増えることはあまりありません。
 
皮膚(ひふ)
 身体を物理的に保護(ほご)し、その乾燥(かんそう)を防いだり感覚、その他のはたらきをもっている膜です。
 成人では約1.6平方mの面積と体重の約14〜16%の重さをもっています。皮膚だけの重さだけで約3kg、皮下の脂肪組織を加えると約9kgになります。
 皮膚の厚さは場所によってかなり違ってきます。大部分は2mm前後の厚さで、約0.5〜3.5mmくらい。一般にからだの背側、伸側で厚くなっていて、腹側、屈側で薄くなっています。老人や小児は全体的に薄いです。
 皮膚は、表皮と真皮、皮下組織の3層にわかれています。
体外に追い出せなかった細菌や異物が体内に進入(しんにゅう)したとき、
好中球(こうちゅうきゅう)
好酸球(こうさんきゅう)
好塩基球(こうえんききゅう)
単球(たんきゅう)
「造血幹細胞から、赤血球、他の白血球、血小板もできます。」
11.血液ってなんだ?をごらん下さい。

好中球、単球とリンパ球のうちのNK細胞(natural killer細胞)
が、無差別かつ迅速(じんそく)に、4時間程度で細菌または異物を処理(しょり)します。
たくさん集まった好中球が細菌を取りこんでいます。
よく見ると、まわりの細菌がすこしづつ減っていきます。


単球は、いろいろな組織(そしき)に移動(いどう)し、そこで、マクロファージという細胞に変わります。マクロファージはアメーバのように動いて、細菌を食べます。


炎症の初期は好中球が活躍(かつやく)しますが、後期になるとマクロファージが集まり死んだ細胞や細菌を食作用により処理します。


natural killer細胞については、獲得免疫で調べましょう。
好酸球にも弱いながら貪食(どんしょく)殺菌作用があります。
アレルギー反応に際して肥満(ひまん)細胞から放出される好酸球走化因子により引き寄せられます。
好塩基球にも運動能・貪食能があるが弱い。
m細胞表面にIgEレセプターがあり、アレルゲンが付着すると脱顆粒し、ヒスタミン、好酸球走化因子などを放出、ロイコトリエンを産生、アレルギー反応を起こします。
Tリンパ球とBリンパ球が獲得免疫に関わる細胞です。
免疫機構(きこう)の構成要素(こうせいようそ)
自然免疫 獲得免疫
相手を選ばず同じ反応 感染源に対してできた抗体が特異的に反応
感染源と接触し4時間程度で即最大効果を発揮 接触から最大効果までは数日がかかる
体液性で細胞が仲介する 体液性で細胞が仲介する
免疫が記憶されない 接触により免疫が記憶される
ほぼ全ての生物で見られる 高度な脊椎動物でのみ見られる