細菌(さいきん)またはウイルスなどが私たちの体にはいりこんだとき、
私たちの体は、どうなるのでしょう。
最初は、下にある方法で私たちの体は対処(たいしょ)します。つまり、体内奥深くまで、微生物がはいらないよう、物理的に排除します。
 体調が悪いため、体の中まで微生物が侵入したとき、白血球のなかの好中球、マクロファージとNK細胞が体を守ってくれます。これらも自然免疫です。
  長崎記念病院検査技師
伊東山 勤 氏の写真提供
(財)ルイ・パストゥール医学研究センターの
特別の許可を得て写真の転載。
 ある細菌を除いて、多くの細菌とカビは、私たちの細胞の中で、生きることはできません。中に入る方法を持っていないからです。



 逆にウイルスは細胞の中でのみ増殖でき、私たちの細胞の中に侵入する方法を持っています。
好中球については、血液とは?も見て下さい。
小さく動くものが細菌です。周りからいなくなります。好中球に食べられ、死にます。
 
好中球のなかに、食べられた細菌がいます。
マクロファージとは?
参照元
http://www.mnc.toho-u.ac.jp/v-lab/macrophage/introduction/int-01.html
東邦大学 理学部 生物分子科学科分子医学部門 小林 芳郎先生の許可をいただいています。
マクロファージは好中球のあとに現れ、一般細菌、カビやウイルスを食べて殺します。
 一般細菌の中には、おかしなものがいます。他の細菌と異なり、体細胞のなかに入る方法を持ち、マクロファージに食べられても、死なずにその中で、生き続けることができるのです。
代表としての結核菌(けっかくきん)  普通に見られる細菌と異なり、結核菌はマクロファージの中で、生き続けます。また、結核が治りきらないとき、結核菌とそのまわりの組織は、石灰化し、その中で、結核菌は生き続けます。

 日本の40歳以上の大人のほとんどが過去に結核菌に感染しているでしょう。
この人達が老人になり免疫力が低下すれば、発病する可能性があります。

 現在、およそ全世界人口の1/3が結核菌に 感染しており、そのうち約10%に発病の危険があるそうです。
また、結核症により年間全世界で約300万人もの人が死亡しています。
NK細胞
 ウイルスは、生きた細胞内でしか増え続けることができない微生物です。リケッチャア、クラミジア、マイコプラズマもです。
 おおむね、これらの微生物は、増殖に必要なエネルギー産生やタンパク質合成など、大部分の代謝機構を持たないため、他の生きた細胞に寄生せざるを得ないのです。
好中球またはマクロファージに食べられず、生き残ったウイルスは、生きるために、私たちの体細胞に入ってきます。
細胞内に入ったウイルスを、好中球またはマクロファージはやっつけることができません。
ウイルスが増え続けている細胞は、私たちには、いらない細胞です。むしろ、ウイルスが増えるため、早くその細胞を処理する必要があります。


NK細胞の登場です。
細胞外で、マクロファージと白血球にやられず、生き残ったウイルスは、細胞内に入り込みます。

ウイルスに入り込まれた細胞は、以前話したMHCクラス1分子という自分の目印であったものが(アニメで冠(かんむり)で表したもの)すこし変形することがあります。
かんむりがやや消えかかっています。

MHCクラス1分子が変形した細胞は、正常な働きができない細胞になります。

NK細胞は、この役に立たなくなり、ウイルスが増えている細胞を処理します。これも、自然免疫です。
NK細胞は、ウイルスに傷害された細胞以外に癌化(がんか)した細胞も処理します。
さて、微生物から身を守る方法は顆粒球、マクロファージとNK細胞を含んだ自然免疫以外、何があるのでしょうか。
答えは獲得免疫です。次は、これについて調べましょう。
獲得(かくとく)免役とは、字のごとく、自分にとって、異物であるものを排除する方法を獲得することです。
特に、感染に対して、最初、好中球、マクロファージとNK細胞ががんばり、体におおきな異常がなければ、良いわけです。
しかし、いろいろ微生物が再び私たちを襲う可能性があります。また、感染が長引くこともあります。
このとき、私たちの体は、次の備えを行います。
樹状細胞、リンパ組織にいるB細胞、T細胞などが活躍します。
樹状前駆細胞(胎児肝臓由来) B細胞、T細胞
B細胞とT細胞は見た目、区別が付きません。
 Lonza社が著作権を有する画像で、三光純薬株式会社のホームページに掲載されています。  
http://www.sanko-junyaku.co.jp/product/bio/catalog/nhc/immune_dendritic-pre.html
のURLから転用許可をいただいています。
この細胞も、マクロファージのように、人体にとって、異物の微生物を食います。
しかし、食べる力はマクロファージより弱いです。
では、何をするのでしょうか。
ウイルスや細菌をとらえた後、この樹状細胞は細胞の中で、ウイルスや細菌を分解し、その残りかすを持ちながら、リンパ組織に入ります。
リンパ節の中で、この細胞はB細胞とT細胞が抗体をつくるお手伝いをします。
樹状細胞ほどではないが、マクロファージもこのお手伝いをします。
お手伝いの仕組みは、獲得免疫をごらん下さい。