ものを投げたりバレーでスパイクするためには、肩関節、肘関節と手首の関節を使います。
肘(ひじ)には、上腕骨と尺骨(しゃっこつ)、上腕骨と橈骨(とうこつ)をつなぐ筋肉があります。
肘を伸ばすための主な筋肉を下に示しています。
右肘を背中側から見ています。
肘を曲げるための主な筋肉を下に示しています。
右肘を前から見ています。
右肘を横から見ています。ピンク色で示した筋肉が縮む(ちじむ)と肘は伸びます。赤色で示した筋肉が縮むと肘が曲がります。この筋肉で力こぶができますね。
野球肘
野球肘とは、投球動作によって起こる肘の障害をすべてあらわします。
小児では骨や軟骨、靭帯、筋肉などが未発達なため、体と連動した一連のスムーズな投球動作が困難です。
従って、投球ホームは手投げの状態となり、肘に負担がかかり易くなります。
さらに、間違った練習方法や指導、練習のやり過ぎが加わると色々な肘の障害が発生します。
コッキング(肩が最大に外向きに回っている)を思い出してみよう。
腕(うで)は曲がっています。
見た目には外側に見えますが、医学的には肘の内側で、手首の骨と上腕骨の骨の頭にくっつく筋肉が後ろ上の方にひっぱられます。下のアニメで、青色で示した筋肉です。黄色で示した内側の靭帯にも力が加わります。思い出そう。この筋肉は手首を曲げる筋肉ですね
投球動作をやりすぎると、肘の内側の筋肉、腱や靭帯を痛めます。

上腕骨の内側にある骨頭に炎症がおきます。(手首を曲げる筋肉がついている部分で、上腕骨内側上顆炎といいます。)
右肘上腕骨内顆
内側が痛いまま時間が経つと、さらに肘の外側も痛くなります。
何故だろう???
投球動作を見てみよう。
見た目には肘の内側に見えますが、医学的には肘の外側で上腕骨の骨と橈骨(とうこつ)の骨がぶつかるようにみえます。上腕骨の骨と橈骨(とうこつ)の骨がぶつかるぐらい近づくのがわかりますか。
加速期、つまりボールを投げ始めてからボールを手放すまでのときです。、腕が曲がるとき、親指の側が外向きになっていくのがわかりますか。つまり、肘の外側で,、外にねじれていく力が働きます。下の動画で見てみよう。
次に、曲がった腕が前に伸びていくとき、肘にはやや内側にひねられる力が働きます。
これが普通のスムーズな投球動作です。自分で、確かめてみよう。
この普通の投球動作の回数が多いときまたはスムーズな動作ができないとき、どうなるかな????
下の写真は、正常な骨です。
開いた手のひらが正面からみえるようにした状態で撮影されています。
http://www.urban.ne.jp/home/tm512/sp3-1.htmlより引用)
上腕骨の骨と橈骨(とうこつ)の骨がぶつかり、外向きの力が強くなる回数が多いとき

      右肘
外側の骨が変形し、ときには剥(は)がれることがあります。
http://www.urban.ne.jp/home/tm512/sp3-1.htmlより引用)
剥がれた骨は、関節ねずみともいわれます。
小学生は、カーブを投げてはいけない。何故だろう・・・・????
動画を見てください。カーブを投げる動作は、ボールに回転をかけるために、前腕を外側にひねりながら、肘を伸ばしていますね。
(正常な肘の動作では、肘を伸ばすとき、前腕は内側にひねります。)
この正常でない投球動作を反復
骨が成長する子どもの時期では、肘をとりまく筋肉・腱・じん帯に“熱を”発生させ、関節炎。
長期間継続すれば、骨が変形。ピッチャー肘特有の「くの字」に屈曲。
野球肘の60%では、内側に痛みがあります。外側では、骨がはがれることが多いです。
上の写真は、右肘の外側(L)で骨がはがれ内側(M)も骨がはがれています。かなり重症です。
肘の後ろ側はどうだろう。
フォロースルー期 (ボールを投げ終えて動作がおわる)
  肘の後ろ側でピンク色で示した筋肉がちじんだとき、肘がのびます。この筋肉は上腕三頭筋といいます。
投げる前、腕は曲がりこのピンク色の筋肉と腱は伸びています。肘が伸びたとき、この筋肉は縮みボールが飛んでいきます。伸びていた状態から急に縮むことを繰り返すと、この筋肉は熱くなったりします。
上腕三頭筋炎が起こります。また、肘の後ろ側の骨がはがれたり、骨が成長する骨端線が開いたりします
野球肘にならないための投球数
小学生では一日の投球数を50球以内とし、練習時間は1日2時間まで..。
練習期間は1週間に3日までとし、週300球以内、変化球は投げないことです。
中学生では一日の投球数を70球以内とし、1週間に6日までとします。
高校生では一日の投球数100球以内とし、1週間に6日までとします。