5.呼吸運動
肺を囲むかごについて
 下の図をみてください。右と左の肺は、背中にある脊椎というせぼねと、左右それぞれ12本の肋骨(あばらぼね)と肋骨にくっ付いているいろいろな筋肉と横隔膜(腹部と胸部をわける筋肉)で囲われています。肺を囲んでいるかご(胸郭)のなかには、肺以外に心臓、心臓に出入りする血管や食道、気管と神経などがあります。腹部にいく血管、神経と食道は横隔膜という筋肉のうちのそれぞれのすきまをとおって、腹部にいきます。
 かごのイメージからはすきまがありますが、このかごは、からだのそととつうじるすきまが筋肉や皮膚などでおおわれているため、そととはつうじていません。いわゆる密室です。
 かごのなかにある肺は胸膜という2重の膜で被われています。この2重の胸膜に被われた肺はこのかごの形をつくっている外側の肋骨ぎりぎりまでふくらみ、このかごがそとにふくらんだり、うちがわにしぼんだりするとき、おなじように、ふくらんだりしぼんだりします。ですから、かごの外側の肋骨と肺との間には空気のはいる余地もありません。
肺の動きについて
 横隔膜が下方つまりお腹のほうにひろがり、肋骨が外側にひろがると、アニメで示すように、かごがふくらみます。このかごは密室ですから、なかの圧力が下がることになります。すると、圧力がさがったなかにある肺が外から空気を吸い込む訳です。これが空気を吸い込む仕組みです。厳密には、肺を被った2重の胸膜でできた隙間(胸膜腔)の圧が下がり、それに引っ張られて肺が膨らみます。アニメを見ながら、考えてみましょう。
肋骨と脊椎
かご(胸郭)とまわりの組織との関係