獲得(かくとく)免疫
自然免疫について、復習です。
私たちは、体に有害なものを食べると、吐いたり、下痢をして、体から有害物を排除(はいじょ)します。
鼻から有害なものが入ると、くしゃみをしたり、痰(たん)がでて、有害なものを排除し体内に入らないようにしています。
細菌、カビやウイルスなどに対して、血液中と組織に出た好中球、組織にいるマクロファージとNK細胞などが防御します。
この自然免疫をくぐり抜けた細菌、ウイルス達は、B細胞とT細胞が活躍する獲得免疫という機序で、退治されます。
は主に、リンパ組織という所にいます。
リンパ系は 脾臓(ひぞう) 胸腺 (きょうせん)、 骨髄 、消化管に付随(ふずい)したリンパ組織といった リンパ球 (B細胞とT細胞)の循環や産生を行う全ての構造を含みます。扁桃腺(へんとうせん)なども含みます。
あごの下、首、太ももの付け根に、グリグリと触れるものが、リンパ節です。
リンパ系は、リンパ管という管でリンパ節などを結んでいます。
血管とは異なり、心臓のようなポンプがありません。
リンパ液は、周りの筋肉組織の収縮で、移動します。また、静脈と同じく管の中に弁があり、前方にリンパ液が移動できる仕組みになっています。
リンパ液は、右と左にある鎖骨下静脈に流れ込みます。
・リンパ組織の働き
1)細胞と細胞の間にある液は組織液と言います。この組織液がいっぱいになると、くみ出す仕事をします。余った液は、右と左にある鎖骨下静脈に流れます。
2)消化管 の表面に沿って分布しているリンパ管は、小腸で吸収された脂質(ししつ)を静脈に運搬します。
3)免疫に関係するB細胞、T細胞などを作ります。
B細胞とT細胞は、見た目で区別がつきません。
形質細胞については、またあとで勉強しましょう。
B細胞とT細胞はリンパ組織と血液の間をパトロールしています。
B細胞とT細胞は,胸管(きょうかん)という太いリンパ管から鎖骨下静脈に入り、血液中を漂います。そして、再び、リンパ管に戻り、決まった場所のリンパ節にたどり着きます。この繰り返しの動きはあたかもパトロールのようです。
アニメのように、ウイルスがのど周辺に侵入したとき、また、左腕(うで)をナイフでけがしたときなど、パトロール中のリンパ球が近くのリンパ節で侵入(しんにゅう)した病原体を見つけます。
近くのB細胞とT細胞は、いつもパトロールしている経路を変更して、病原体のいるリンパ節に集まります。
ウイルスが体内に入り込んだとき、どうなるか。調べてみましょう。
ウイルスとヘルパーT細胞、キラーT細胞について詳しいことは。ここをクリック
ウイルスは、私たちの細胞に入り込もうとします。
なぜなら、私たちの生きた細胞の中の仕組みを利用して増えるからです。
細胞の外では、仲間を増やすことができません。
 
アニメのように、細胞にウイルスが近づきます。
あらゆる所にいる樹状(じゅじょう)細胞が、マクロファージと同じようにウイルスを食べます。(マクロファージに比べて、食べる力は弱いです。)
この樹状細胞は、リンパ節に移動します。
リンパ節では、ヘルパーT細胞がこの樹状細胞にくっつきます。ここから、サイトカインという物質が出ます。
このサイトカインは、眠っていたキラーT細胞を元気づけます。
リンパ節から出たキラーT細胞は、ウイルスにやられた細胞にくっつき、この細胞をやっつけます。
細胞と共に、ウイルスも死にます。
B細胞はどうでしょう。
人間は自然界であらゆる抗原になりうるものに対して、すべての抗体を持ち合わせています。
不思議ですね。人間のすごいところです。
B細胞の細胞表面には、抗体があります。
アニメのように、B細胞から出てきた抗体は、ウイルスを抗原とみなして、ウイルスをやっつけます。
B細胞もウイルスをつかまえます。これにヘルパーT細胞がくっつきます。ここから、違うサイトカインが出ます。
これが、B細胞に作用し、B細胞が分裂し増えます。ここで形質細胞に変わります。
形質細胞は、抗体を多量に産生し、これでウイルスがやられます。
抗原とは?
通常、 細菌 ウイルス などの外来 病原体 や人為的な注射などで体内に入る タンパク質 などが抗原になります。
自分の体を構成している成分が抗原となって免疫反応が起きる場合があります。これは自己免疫疾患(しっかん)という病気です。
●細菌の場合、どうなるでしょうか
 多くの細菌は、私たちの細胞の中に入れません。ウイルスのように、細胞の中で細菌が増えることがありませんが、細菌の毒で、細胞が傷(いた)むことはあります。このとき、ウイルスと同じ方法で、キラーT細胞で傷んだ細胞は処理されるでしょう。
B細胞も同じように活躍するでしょう。
T細胞については、また、この次。