学会症例発表

第50回 宮崎救急医学会にて下記症例発表を行いました。(平成29年8月5日)

○ 多量の心嚢液貯留で発祥し静脈血栓塞栓症を併発後に顕在化した肺結核の1例

 発 表 者)床島 真紀 (とこじままさとし)

 共同演者)川本 理一朗、楠元 規生、砂 亮一、長田 直人

 症例は83歳、男性。20XX年Y-1月末から背部痛、呼吸困難がありY月3日近医受診し胸部画像検査にて多量の心嚢液を指摘された。他院転送したが心タンポナーデには至っていないためドレナージは行わず前医帰院した。また右肺結節を指摘され肺癌による癌性心膜炎を疑われた。間もなく呼吸困難が増悪、Y月6日当院転院し心嚢ドレナージを行い3日間で計1300ml排液したところ呼吸困難は改善した。心嚢液、喀痰からは細胞診や細菌検査で有意な所見はなかった。Y月13日突然の呼吸困難、低酸素血症があり胸~下肢造影CT検査で静脈血栓塞栓症と診断、抗凝固療法にて間もなく軽快した。心嚢液の抗酸菌培養検査が3週間で陽性、結核菌PCR陽性であった。胸部CT検査で両肺野に多発性の炎症性結節、小粒状影を認め肺病変が顕在化した。改めて喀痰検査を行い抗酸菌塗抹陽性、結核菌が検出され肺結核と診断した。結核は忘れてはならない疾患であることを再認識した症例であった。


     ※発表時のスライドは下記動画を再生下さい。



脳神経外科 患者数及び手術症例数


  ※平成23年度~平成27年度 医療法人財団西都児湯医療センター 
   平成28年度~       地方独立行政法人西都児湯医療センター


硬性鏡の症例

西 都児湯医療センターは、宮崎県下で数少ない硬性鏡による気管・気管支腫瘍の手術が可能な病院です。

対象期間 2015年4月から2016年7月までの16か月間
年齢・性別 59~89歳(平均72.2歳)、延べ11例(男性6例、女性5例)
原疾患 気管腫瘍(扁平上皮型乳頭腫) 1例
気管腫瘍(腺様嚢胞癌) 1例
甲状腺癌術後再発による気道狭窄症 2例
食道気管支瘻 1例
肺癌による気道狭窄症 4例
転移性肺腫瘍による気道狭窄症 2例
合計 11例
術式
(全身麻酔下硬性鏡を用いた)
腫瘍切除術 4例
気道拡張術 2例
気道ステント留置術(シリコン製) 4例
合計 10例
術式
(軟性気管支鏡を用いた)
気道ステント留置術(金属製) 1例
合計 1例

気管乳頭腫の切除術

硬性鏡下にスネアで切除後止血と残存腫瘍の焼灼を兼ねてアルゴンプラズマ凝固を行いました。手術時間は21分でした。

気管乳頭腫の切除前後

術後1か月で観察した粘膜はほぼ問題ありません。
手術一年後も再発はありません。

食道気管支瘻患者への軟性気管支鏡を用いた金属ステントの留置

食道気管支瘻の患者で、軟性気管支鏡を用いて金属ステントを留置しました。その後紹介元に戻って食道ステントも留置され ていますが、気道ステント留置後から飲水、ゼリー摂取が可能でした。

赤枠内が瘻孔になります。

左主気管支です。

左主気管支は、食道癌の浸潤で粘液不整と気道狭窄がみられます。

左主気管支に金属ステントを留置しました。

右上葉肺癌による気道狭窄に対するステント留置術

右上葉肺癌のため主気管支まで閉塞しています。すでに右上葉は閉塞しているため、同部は捨てて右主気管支にIステントを 留置しました。胸部レントゲンは改善し呼吸困難も著明に改善しました

手術前

右上葉の肺癌によって右上葉は閉塞しています。
右下葉も閉塞しかかっていました。

気管分岐部
右主気管支に出血と粘膜不整、気道狭窄がみられます。

手術後

ステント留置後に右下葉に含気が得られ、レントゲンもきれいになりました。

主気管支
シリコンステント留置後の写真です。

中間気管支幹
ステントにより、右下葉の気道が確保されました。

内視鏡による診療

食道に引っかかった義歯を内視鏡的に除去しているところです。

胃のアニサキスを除去しています。
二隻いて一隻目をとっているところです。

食道静脈瘤破裂に対して内視鏡的静脈結紮術を行い止血に成功しました。

術後しばらくして食事も可能になりました。